慰謝料・過失割合money
慰謝料
慰謝料とは
慰謝料とは、怪我などを負うことで被った精神的苦痛に対する損害賠償のことで、民法710条では次のように規定されています。
第710条
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
怪我などを負うことで被った精神的苦痛に対する損害賠償のことを「傷害慰謝料」と言い、症状固定後、認定されて後遺障害等級に応じて支払われる損害賠償のことを「後遺障害慰謝料」と言います。
慰謝料の3つの基準
慰謝料には、次の3つの算定基準があります。
自賠責保険基準
「自賠責保険基準」とは、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)で使用される基準です。「自動車損害賠償保障法」という法律にもとづいて国が算定基準を定めており、3つの算定基準のうち、最も低い金額となります。
任意保険基準
「任意保険基準」とは、保険会社が自社独自で定めている算定基準です。任意保険基準の内容は保険会社によって異なり、基本的には公表されていません。通常、「自賠責保険基準」より高く、「弁護士・裁判所基準」より低い金額となります。
弁護士・裁判所基準
「弁護士・裁判所基準」とは、実際の裁判などで支払われた金額を参考して、弁護士が依頼者の代理人として就任した時などに、保険会社と交渉する際に使用する基準です。通常、「自賠責保険基準」や「任意保険基準」よりも高い金額となります。
過失割合
過失割合とは
過失割合とは、交通事故における加害者、被害者それぞれの過失の度合いを割合で表したものです。そして被害者の過失を考慮して、負担すべき損害賠償の金額を算定することを「過失相殺」と言います。過失割合を決めるのは、警察や保険会社ではなく、任意交渉の段階では加害者と被害者の間での合意によって決定され、訴訟の段階では裁判所の判決によって決定されます。そのため、保険会社が過失割合を提示してきても、それをそのまま受け入れる必要はないと言えます。
過失相殺とは
過失相殺とは、被害者の過失を考慮して、負担すべき損害賠償の金額を算定することを言います。民法722条2項では、次のように規定されています。
民法722条2項
被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
過失相殺の際には、通常、加害者、被害者それぞれの損害の項目を集計して、損害金額の合計を算出した後、そこから過失相殺して最終的な金額を算出します。
損害賠償の調整
交通事故によって被害を受けた場合でも、被害者側にも過失がある場合には、「過失相殺」によって損害賠償の金額が調整(減額)されることになります。過失相殺の割合は、通常、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」で示された基準により算出されますが、その際に、過失割合が適正であるかどうかを検証するためには、法知識が必要となりますので、保険会社が提示してきた過失割合に納得がいかない場合などには、弁護士に相談されることをおすすめします。その結果、過失割合を是正して、ご自身の正当な権利を守ることができる場合があります。